先日、浮かない顔をしてお客様が来店されました。
どうなさいましたかとお伺いすると、当店にてお孫さんのためにとご注文いただいた印章を10日ほど前にお持ち帰りになり、お孫さんにお渡しする前にご自身で試しにと、印章ケースについている朱肉で捺してみたところ、朱肉に印章を突っ込んでしまったため彫刻部分に朱肉の液が入り込み、かなり汚れてしまったとのこと。
慌てて台所で洗ったらとりあえず朱液はきれいになったが今度は印面の色がなくなってしまい、新品なのに使い古したような見た目に。お客様も彫刻した私も「OH! MY GOD~!」
そこでいったんお預かりして印面に墨を打ち直し、翌日お渡ししましたらとても喜んで下さいました。お客様には、お孫さんにお渡しする際に、印章ケースについている朱肉はなるべく使わず、卓上に置いてある朱肉をお使い頂くようお伝え下さいとお願いしました。お客様も「ほんとその通りやね!」と笑顔(ニッコリ)でお帰りになりました。
もう一つお伝えしたいのは印章を出来るだけ洗わないで頂きたいのです。
洗剤を使えばきれいになりますが、生物由来の印章は必要以上に脂分を失うと、表面が荒れてしまうことがあるのです。
また水分に長く触れるとほんのわずかですが膨張し、乾くと収縮するので長い目で見ると印章の縁の部分が弱くなり何かの拍子に欠ける可能性が高まります。
これを読まれた皆様も、できあがった印章をはじめてお使いになる際はできるだけ卓上の朱肉をお使い下さい。
2022年8月12日
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